あるアナウンサーが中継先で「残暑が残る」と言った説明で、
えっ?何か変と思った人も多いようです。
実際に中学生の子供から、「残暑」でもう残るって言ってんだから、
また残るって言ったらおかしくない?と聞かれて
「そっかな?」と不思議に思った私。
今回は「残暑が残る」は正しい日本語なのか、
そして「暑さのみぎり」はどういう意味なのかをみていきます。
残暑が残る
「残暑が残る」という言葉になんとなく違和感のあるあなたは、
こだわり屋さんかもしれませんね。
日本語として間違いというわけではなく、
重言という事でしょう。
「後で後悔する」「早朝の早くから」
「馬から落馬した」なども重言で、普段から使う日本語です。
その事柄を強調したい時に使うと思っても、
良いかもしれません。
違和感のある人は「残暑が残る」に変えて
「残暑を感じる」とか「残暑厳しいなか」
などに言い換えれば良いだけです。
それでは、この「残暑」は一体どんな意味なのでしょうか?
残暑の意味
残暑とは、立秋が過ぎても残る暑さとあります。
ですが、暦の上での立秋は8月の最初あたりですから、
まだまだそれから暑い日が続くのは当たり前のようです。
例文としては
@厳しい残暑が続きますが、夏バテなどされていませんか?
@残暑が過ぎると、あっという間に秋らしくなってきますね。
@残暑につられて、冷酒を楽しんでおります。
こんな感じでしょうか。
残暑のみぎりの意味
・残暑のみぎりの意味
「みぎり」を漢字で「砌」石+切と書いて、
切ったままの石畳や石階段を表すとあります。
意味としては、「水限(みぎり」で
雨滴の落ちるきわなどを指していて
「~のおり」「時節」「~のころ」という事になります。
・残暑のみぎりを使う時期
残暑ですから、8月の挨拶文になります。
「残暑」「晩夏」「立秋」「初秋」「納涼」「秋暑」などに続けて、
「のみぎり」「の折」「の候」を入れて挨拶をします。
@残暑のみぎり
@晩夏の候
@初秋の折のようになり、これに続けて相手方の繁栄を気遣った言葉を加えます。
@残暑のみぎり、貴社ますますご繁栄のことと存じます。
@初秋の折、ご家族の皆さまにおかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
このような感じです。
・親しいお友達には
ですが、親しいお友達には
このように堅苦しく書く必要はなく、例えば
@残暑厳しいなか、いかがおすごしですか?
@暦の上ではもう秋ですが、まだまだ暑さが続きますね。
@そろそろ夏休みも終わりに近づき、子供と忙しく宿題を済ませている今日この頃です。
なんて感じで良いのですよ。
あまり難しく考えなくても大丈夫です。
暑さのみぎりの意味
これも同じ意味で、「暑い日が続いておりますが、」
といった意味合いです。
7月の暑い夏の時期に職場の上司や恩人の方など、
かしこまった手紙やハガキの文章に使います。
「盛夏」「猛暑」「酷暑」「大暑」「激暑」「極暑」
などがあげられ、この後に
「のみぎり」「の折」「の候」をつけます。
@暑さのみぎり、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
@大暑の候、〇〇様にはますますご活躍のこととお喜び申し上げます。
とこのような感じです。
そして親しいお友達には
@毎日本当に暑いですね。皆さまいかがおすごしでしょうか?
@海で泳ぐのが楽しい季節になりました。お変わりありませんか?
@本格的な夏を迎えましたが、皆さまお元気ですか?
このような感じで、自分の生活に身近な事柄を加えると良いですね。
夏の挨拶文の結びの例文
夏のご挨拶でハガキを出す上で、以上のような例文を
いくつかあげてきましたが、結びの文はどのように書けば良いのでしょうか?
・かしこまった言い方
7月の場合
@夏風邪など召されぬように、くれぐれもご自愛くださいませ。
@酷暑に体調を崩されないようご留意くださいませ。
@暑さが厳しくなって参ります。ご家族の皆さまのご健康を心よりお祈り申し上げます。
8月の場合
@残暑厳しき折、お風邪など召されませんように。
@まだまだ厳しい暑さが続きます。おからだご自愛くださいませ。
@秋の気配を感じる今日此の頃、くれぐれもご自愛くださいませ。
・親しいお友達には
7月の場合
@これから猛暑になるから、からだには充分気をつけてくださいね。
@どこもエアコンが効いてるから、風邪などひかないように気をつけてね。
@お腹出して寝たりして、寝冷えなどしないように気をつけてね。
8月の場合
@朝晩冷えるようになってきたから、風邪ひかないよう注意してくださいね。
@暑いかなと思ったら急に冷えたりするので、どうぞ皆さん健康には留意してください。
@お盆を過ぎるとグッと冷え込むから、からだを冷やさないように気をつけてね。
こんな感じです。
ご挨拶でハガキなどを出すわけですから、
締めには相手方の健康を留意する文句がふさわしいでしょう。
まとめ
今回は、「残暑」の意味や「~のみぎり」の
意味などについてみてきました。
日本語は難しいですが、知り合いの方を思って出すハガキは
もらうと嬉しいものです。
「~のみぎり」は、「の折」「の候」「のころ」という意味でしたね。
元々は石を切ったそのままの形を表したものだとは、
日本語は奥が深いです。
重言で残暑が残るというと、言葉が重なっておかしいかな?とか
心配になるかもしれませんが、
一番大事なのは、相手を思って便りを出すという思いやりなのです。
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